日本に広まるICカード

ICカードとは、集積回路(IC)を内蔵したカードのことです。カード内部にRAMやROM、EEPROMといった半導体メモリ、CPU、コプロセッサなどを内蔵することで情報の記録や高速演算をすることができます。カードの形態は接触型と非接触型に分けられますが、この分類は内部情報の読み書きの方法によるものです。
このカードは1960~1970年代にかけて、ドイツ・日本・フランスでそれぞれ発明されました。このカードが発明される前は、主に磁気ストライプカードが使われていました。しかし、1980年代に日本でテレフォンカードとして導入されて以来、様々な分野で使われています。
このカードが主に使われている場面は現代日本の生活で広く普及したものが多く、もはやICカード無しでは生活が成り立たないと言っても過言ではありません。
通信・放送分野では、前述のように、公衆電話に用いるプリペイド式テレフォンカードに初めて導入されました。携帯電話に搭載されたSIMカードやUIMカードもその一つです。しかし、携帯電話の普及により公衆電話の数は減り、現在では磁気カード式の公衆電話のみが使われています。
キャッシュカード、クレジットカード、電子マネーなど、決済手段としても普及しています。1980年代にはフランスで初めて導入されましたが、日本での導入が始まったのは21世紀に入ってからのことでした。
鉄道・バスなどの交通分野では、IC乗車券が広く普及し、各鉄道会社間での相互利用も始まっています。
また、住民基本台帳カードや運転免許証、パスポートなど、行政面での導入も進んでいます。
最近ではカードに貼っておしゃれを楽しむステッカーも発売され、これからの生活にますます欠かせないアイテムとなっています。
このカードが普及した背景には、記録・演算できる情報の豊富さ、利用の簡便さ、そしてセキュリティ面での特徴があげられます。以前の主流であった磁気ストライプカードは不正な読み書きを防止する仕組みを持っていないため、比較的安価な装置での改竄・コピーが可能であり、カードの偽造が問題となっていました。一方、このカードを偽造するには内蔵したICチップを分解し、専用装置を用いて解析するなど、手間とコストがかかるため偽造が容易にできず、その分安全であると言われています。しかし、内部の情報を読み出すための様々な攻撃方法が既に開発されており、こうした攻撃に対処した新しいカードの開発が望まれています。